著者:クリストフ・モリン、パトリック・ランヴォワゼ 367ページ ダイレクト出版
こんな風に思っていたら
- 他人を説得するための効果的な方法を知りたい。
- 感に頼った販売はやめたい。
- 販売に関しての問題点を分析したい。
- プレゼンテーションで大きな成果を出したい。
そういった悩みを、脳科学で解決するために書かれた本になります。
本書は、「ニューロマーケティング」という、あまり聞きなれない手法で、「欲しいを引き出し」売るための方法を解説しています。
ニューロマーケティングは、消費者の脳の直接的な反応を測定して、消費者の心理や行動を解明することで、マーケティングに応用した手法です。
最先端の説得力の脳科学を利用して、脳が理解しやすいメッセージを作成できるようにサポートすることが本書の目的になっています。
感に頼って大金を無駄にしない
ポイント
ニューロマーケティングは、科学的に分析し、人の反応をみて得た結果をもとにしているので、今までの感に頼った販売を見直すことができます。
商品やサービスを販売する活動のために、今まで決して少なくない資金を使ってきたと思います。
しかも、何が効果があって何が効果がないのかも分からずに。
今まで行ってきた活動を頼りに、感に頼ったやり方をしてきたと思うのですが、これからは20年にわたって、研究を続けてきた神経科学、メディア心理学、行動経済学などの最新の研究結果に基づいた意思決定を行うことが出来るようになります。
原始脳と理性脳のシステム活動を測定
2つの領域を測定
原始脳:本能や情動を司る脳の領域
理性脳:理性的な情報処理を司る、最も新しい領域
その両方を測定し、マーケティングや広告の刺激が脳に及ぼす影響を、本書では解明しています。
その結果わかったのは、説得のプロセスをコントロールするのは、理性脳ではなく原始脳だったということです。
原始脳には、言語機能はなく、ほぼ無意識のうちに活動していますので、その原始脳に簡単かつ科学的に働きかけることができるようになります。
売れる脳科学には、いろいろとマスターできる内容が書かれていますが、ここで聞いても混乱すると思いますので書きません。
欠陥の多かった今までの解析
ウェブ解析やモバイル解析には、あまり価値がなく、それどころか欠陥があることも多いので、ニューロマーケティング調査によって、消費行動を分析する必要があると著者は言います。
ですから、20年以上の消費行動を分析した、本書に書かれているニューロマップに沿って、メッセージを作成すると、失敗するリスクを軽減し、無駄を省き、説得力を高められるということです。
読んでいくと、いかにニューロマーケティングが優れているかの解説なので、ポジショントークな感じがしましたけど、書かれていることは、科学的分析に基づいたことが書かれていますので、その証明をしっかりと根拠とともに解説しています。
本書を読むと、相手を説得する能力が高くなるだけでなく、自分の生活の質も高くなると著者は言っています。
ニューロマーケティングと従来のマーケティングの違い
ニューロマーケティングの調査は、マーケティング刺激に反応して脳内で生じる生物的、生理的、精神的な変化を観測するという点で、従来の調査方法よりもはるかに優れていると言います。
その根拠として、どれだけニューロマーケティングが優れているのかの説明が書かれています。
意識的に伝えることが難しい、感情の状態をも知ることができるのがニューロサイエンスです。
無意識の注意をつかむ
注意(脳がエネルギーを消費して、多数の情報の中から重要なメッセージを選び処理すること)は無意識のうちに行われます。
ですから、メッセージにどのくらい注目したのか聞いても、その注意の度合いを測定するのは難しいけど、それに比べて、被験者の脳データを集めるのは比較的簡単だと言うことです。
ニューロマーケティングは、メッセージによって意識的にも無意識にも、意図的にも自然にも、どのような注意をとらえたかを明らかにすることができます。
この方法で、効果的なメッセージを作成する能力を、大幅に上げることができるってことです。
問題点が科学的に分かる
広告を変えたら、寄付金が集まらなくなった動物の権利を守る団体があって、その問題点を調べたら、動物の横顔より、正面の顔の方が注意を喚起しやすいことが分かったり、動物の表情の強さと、それを分かりやすく見せているかどうかが、被験者の反応に大きく影響することなども分かるようになります。
正直な感情か?
人は、自分の感情を隠したり、感情を誤って伝えたりする傾向があり、自分にとって満足できる事柄だけを公表し、自尊心をくじくような事柄を隠そうとすることがあるので、言葉で伝えようとする感情と、実際の感情との違いを明らかにすることもできます。
言葉で聞いても真実かどうか分からないことを、脳からの反応をみて調べることができますよってことですね。
ニューロマーケティングでは、感情を推測するのではなく、感情を測定する。
売れる脳科学では、脳の機能も盛りだくさん
脳の機能についても、詳しく書かれています。
各部位の機能や神経活動に関してや、人は注意を払うとき、脳内の貴重な酸素とブドウ糖を燃焼して消費し、そのエネルギーには予算が決まっているなど、図も交えていろいろとです。
そんな中でも従来のマーケティング本でも言われていることもチラホラでてきます。
何かの購入を判断する際、2つの強い感情が影響を及ぼしますが、それが後悔への恐怖と損失への恐怖で、難しい判断を迫られると、人は理性的な行動をとるのではなく、損失回避の行動を示す傾向があるなど。
Neuro Map(ニューロマップ)
意思決定をする上で、無意識が重要な影響を及ぼすことを考えると、被験者の自己報告に基づく調査方法では不十分であり、消費者の行動や購入判断を正確にとらえることは出来ないと著者は言っています。
ですから、科学的に分析したニューロマーケティングが大事なんですよってことです。
今までは、相手を説得するのは、科学的な理論ではなく、芸術的な勘によるものが大きいと考えられてきたんです。
でも、メッセージが脳に及ぼす影響を分析することで、いつでもどこでも誰に対してでも、説得力のあるメッセージを作成、展開できるシンプルでありながら、科学的なモデルを作成しています。
ニューロマーケティング調査で、複雑な研究を行わなくても誰もが学習、適用できる説得モデルを開発することができるようにしたものが、本書で語られるニューロマップと言うものですね。
なるほど
損失を回避したい気持ちは、勝ちたい気持ちよりも2.3倍強いことが分かっているので、1ドル支払うというネガティブな感情を上回るには、少なくとも2.3ドルの価値があるとお客様が認知できるものを提供しなければならない。
本書の売れる脳科学のデメリット
脳の機能に関する説明が非常に長く、部位の解説やその辺も網羅されているのはいいのですが、専門的な内容で非常に眠くなる感じです。(専門的に知りたい方には、とてもいい本です)
ニューロマーケティングについての前置きも長いと思います。
あまり知られていないせいか、きちんと説明しないといけないので、仕方ないのかもしれませんが、何度あくびをしたか分かりません。
96ページにある写真を見ると、私の気持ちが分かると思います。
でも本自体は素晴らしい
私の原始脳は本を閉じろと言っていたので、この本にはニューロマーケティングが盛り込まれていない書き方がされているとしか言いようがないですね。
なんて言いつつも、読む価値がないかと言ったら、そんなことは全くないです。
とにかく裏付けのないボヤっとした従来のマーケティング本の中で、とにかく証拠を出して、信じるに値するものが書かれています。
ただ、前半眠くなっていきますが、その副作用がなければ、とてもいいと思います。(個人的には)
脳についての知見も広がりますし。
しっかりとした裏付けがないと信用出来なかったり、マーケティングのテクニックについて根拠がどうしても気になる人には向いていますが、感覚的な方には眠くなるかもです。
ですが、感覚的な基準でマーケティングの判断をしていた人には、もしかしたら、その判断は間違っているかもしれないと気付かせてくれるので、学んでも損はないですね。
そもそも感に頼ったマーケティングを、やめるために書かれているので。
結論はおすすめです
本を読みなれていない人には、オススメ出来ないかもですが、前半部分は、このブログの内容をみて、後半から読むといいと思います。
89ページからの6つの刺激をさっと目を通して、148ページから痛みや恐怖について学び、166ページから面白くなります。
価格先行効果
価格を先に示すと商品の金銭的価値に基づいて購買判断を下すのに対し、商品を先に見せると、商品の魅力や値打ちに基づいて購買判断を下す。
安さを売りに出していないのであれば、商品から示し、最後に価格を提示した方がいいですよって事です。
全部読んでいる時間がない方は、最後の341ページからを読むだけでもいいと思います。
あなたの作った、顧客に対するメッセージの問題点が、すぐに見つかると思いますよ。
その5~6ページだけで元が取れるから、おすすめできる本です。
従来のマーケティングでは、効果の検証がうまく行かず行き詰っているなら、それを解決してくれて、あなたの悩みを軽くしてくれる本になっています。