著者:マリア・コニコヴァ 329ページ ダイレクト出版
詐欺師たちが使う「悪」のテクニック
こんな風に思っていたら
- 人から信頼されるにはどうしたらいいのだろう
- 誰かを説得したい時には、どうしたらいいのだろう
- 人にだまされないようにするにはどうすれば?
本書、「The Confidece Game 信頼と説得の心理学」には、詐欺師たちがどのようにして、人から信頼を勝ち取り、説得してだましているのかを学べる本になっています。
詐欺行為は心理戦です。
その心理的要素を探求して紐解いていき、その下準備から実行、とどめの一撃まで、詐欺の手口の各段階に潜む心理学の原理を調査しています。
注意
帯にも書かれていますが、詐欺は犯罪です。
この本には、詐欺師たちが使う「悪」のテクニックが書かれていますが、だますことに使うから「悪」になるのであって、誰かの人生を良くするために使えば、とても役立つテクニックになります。
ようは騙さなければいいだけです。
例えば、他社の販売している商品を使っているお客さんの、不満に思っている部分を解決できる商品やサービスをあなたが開発したとします。
お客さんはその他社の製品を使っている分には、不満な部分はあるけど、そこさえ我慢すればいいのかもしれません。
例えあなたの商品やサービスが不満を解決できるとしても、お金を使わせてしまうことになりますが、それでも不満の解消や、ストレスを軽減できるなら、買ってもらってよりよくなってもらうことが、企業の使命です。
ですから、いいものがあって、お客さんの悩みや不満を解決できるなら、使ってもらわなければいけません。
そのために、あなたの信頼を高めて説得し、買ってもらった方が、お客さんとしてはいいですよね?
詐欺師たちが使うテクニックを学んで、お客さんの問題を解決することができるように、使えばいいと思います。
あなたが信頼を獲得することで、誰かの幸せにつながるような形で使ってみて下さい。
そして悪意のある人たちから、騙されないようになるために、手口を知っておくことは、防衛にもなりますので、そういったことに興味がある人は、読んでみるのもいいかもしれませんね。
詐欺師の心理ゲームを紐解く
詐欺行為は心理戦からはじまる。
詐欺師は被害者が何者で、何を欲し、こちらの望みを達成するにはどうすればいいかを見極める。
それには、共感や関係性が求められるため、ゲームを開始する前に、必ず感情的な基盤を築いておく。
それからようやく企てを開始し、相手を説得する材料、実際の利益を示してみせる。
自分のときはなぜ騙される?
ほかの人が、途方もない取引や馬鹿げた儲け話しをしているのを聞けば、騙されているとすぐ分かるのに、自分のときはなぜ騙されてしまうのか?
私たちはなぜか、自分が無敵だと思っているし、特別な存在だと思っているんです。
自分の方が賢いと思ったり、彼らは騙されるかもしれないが、私は絶対に大丈夫と勘違いしています。
それは自己奉仕バイアスで世界を解釈しているから。
自己奉仕バイアス
成功したときは自分自身の能力によるものであり、失敗したときは自分ではどうしようもない外的な要因によるものだと思い込む考え方
そういった自分の都合のいいように解釈した考えで世界を見ているなら、どんな状況でも、自分が特別だと信じていることになります。
自分に持ち込まれた話は真実だと、自分が特別だからだと。
ですから自分のことを客観的に見ていないし、自分の望む形に合わせて世界を曲解しているから騙されるのです。
詐欺師が使うストーリー
マーケティングではストーリーの重要性を説いている書籍も多数ありますが、それを詐欺師も使っていることが分かります。
私たちは物語を切望し、それがないときには創り出しています。
胸に迫る話は人々の心を開きますし、私たちは幻想に目をくらまされることで、世界を少しでも素晴らしいものにしたいと望んでいるのです。
ですから、その心理をついて物語を紡ぐことから詐欺は始まります。
物語は物事をもっともらしく見せる要素です。
このことから分かることは、物語が最大の影響力を及ぼす方法であり、最善のアプローチ法だと言うことです。
詐欺師はあなたの見たい世界を売っているわけですから、よくできた物語に警戒すればいいと思います。
そして、詐欺師は、騙すからよくないのであって、いい商品やサービスを売っているのであれば、物語で引き込むことは悪いことではありません。
物語は、人の気持ちを変えさせることのできる、数少ない方法の一つです。
どんな理論や戦略にも勝てると言います。
強力な物語に引き込まれれば、私たちの理性は崩壊すると。
詐欺師が私たちを物語に誘い込むには、いくつかの方法が書かれていますので、気になった方は、The Confidece Game 信頼と説得の心理学で学んでみてはいかがでしょうか。
詐欺師の手口の数々
希望的同一視
相手に同情するのではなく、その人物のようになりたいと願う。
自分の欲しいものを誰かが手にいれたなら、自分にもできないはずがないと思ってしまう。
この手を使ってマーケティングしているサイトはよく見かけますね。
フット・イン・ザ・ドア
ドアを開けて欲しいとか、小さな要求をすでに受け入れている人は、のちのちさらに大きな要求を受け入れやすい。
おもしろいのは、二度目の頼みごとをする人物は、はじめと違う人物でもいいってことです。
人が説得に弱い要因のひとつは、自分の良いイメージを保持したいからだと言っています。
人にたいした人物だと思われれば、そのイメージに応えたいと思うようになり、イメージ通りの行動を取りたいと望むと。
ローボール・テクニック
自分の要求がほんの些細なものだと伝えておいて、いざ相手が受け入れたら、徐々に条件を上げていく。
一度、要求を受け入れてしまうと、次の提案も受け入れやすくなってしまいますよね。
知っていると、うまいことやってるなぁなんて思えるようになります。
順序効果
情報自体は同じでも、情報の見せる順序を変えるだけで印象が変わってくる。
ほんの少し視点を変えただけで、いかに簡単に人の価値観が変わるのか分かります。
ちょっと、印象操作とかされても気づかない自信がありますよね。
こういった、心理的な人のクセ、こうなりやすいってところにつけこんでくるなどのことも書かれていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
ほんの一部を抜粋させて書かせてもらいましたが、本書は詐欺事件の手口を例に解説しています。
詐欺師が売っているものは何か?
詐欺師が売るものってなんだろう?って考えながら読むと、より理解しやすいと思います。
なぜ傍からみるとだまされていると思うことでも、自分が行動してしまうのはなぜなのか?
それは、詐欺師が売っているものが○○だからです。
たった1つの売り込まれるもの、その答えが本書に書かれています。
補足
人から信頼を勝ち取ったり、説得したり、詐欺からだまされないように自分を守るための、最後の対抗手段は、純粋に「知識」であると著者はいいます。
人をだますための心理的知識を学んでいて、技術として使えるようにしているのですから、こちらも知識は必要なわけです、
人の心理を悪用する手口を知っておくと対策出来ますね。