ディズニー映画『ミラベルと魔法だらけの家』をみると、もやもやの答えが見つかる?
ミラベルと魔法だらけの家は、メッセージ性の強い作品になっています。
ですから、普通にディズニーミュージカル作品として楽しむのもいいのですが、今の自分には何もないと感じていたり、今の自分の行動が、誰かの期待に応えるために行動していて、なんとなくの不安や息詰まりを感じているとしたら、『ミラベルと魔法だらけの家』をみると、気持ちが楽になるかもしれません。
自分にないものを持っている周りの人たち、その中で、何もない(才能)と感じている自分。
それでも、誰かのためや社会のために頑張っているけど、うまくいかない。
そんな風に感じることがあるなら、狭くなっていた視界が広がり、別の答えが見つかるかもです。
ミラベルと魔法だらけの家のあらすじ
ヒロインのミラベルが住むマドリガル家の家は、カシータといって、まるで家が生きているかのような魔法の家になっています。
そのカシータに住むマドリガル家の血筋は、5歳になるとギフト(魔法)が授けられるのですが、なぜかミラベルだけがギフトをもらえませんでした。
ミラベルは、唯一ギフトを持っていませんが、それでも家族や住民たちの役に立ちたいと、いつも頑張っています。
ですが、家族が特別な才能をもつので、余計に凡人扱いをされているのです。
他の家族がギフトで活躍しているなか、それでも明るくふるまい、いつかは奇跡がおきて魔法が使えるようになると夢みているのですが、自分だけが何もないことに疎外感を感じています。
そんなミラベルは、ある日、カシータ(家)にひびが入っていくことを目の当たりにし、家族や家を守るために、奮闘していくのです。
家系図(声優)
アルマおばあちゃん(中尾ミエ):魔法は使えない?ようにみえますが、アルマの部屋があることから、家族の主として、マドリガル家を導くギフトがあるのだと思います。そしてエンカント全体を守ろうとしている。フリエッタ、ぺパ、ブルーノの3つ子のお母さん。
フリエッタ(冬馬由美):料理で人を癒すことができる、癒しの魔法を使えます。蜂に刺されて腫れた顔も、すぐに元に戻すことができます。ミラベル、ルイーサ、イサベラの母でアグスティン(関智一)の妻。
ぺパ(藤田朋子):天気の魔法を使うことができ、感情によって天気を変えることができる。ドロレス、カミロ、アントニオの母で、フェリックス(勝矢)の妻。
ブルーノ(中井和哉):未来を見ることができる魔法を使えますが、予言は不吉だと思われている。みんなから煙たがられている存在ですが、家族を大事に思っています。
ミラベル(斎藤瑠希):唯一ギフトをもらえなかったヒロイン。
ルイーサ(3時のヒロイン ゆめっち):パワーの魔法で、とにかく力持ち。優しく働き者で、エンカントの人たちからも慕われている。ミラベルの姉。
イサベラ(平野綾):花の魔法を使うことが出き、花や植物を咲かせることができる。気品のあふれるお嬢様に見られているが、期待に応えるために本来の自分を偽っている。ルイーサ、ミラベルの姉。
ドロレス(大平あひる):どんなに小さな音でも聞こえる、聴力の魔法の持ち主。ドロレスの前では内緒話はできないというより、エンカント内でのことは筒抜け。
カミロ(畠中祐):どんな人物にも変身できる魔法が使え、ふざけたり、人を笑わせたりしている。
アントニオ(木村新汰):動物と意思疎通ができる魔法が使え、動物に好かれる男の子。
ミラベルと魔法だらけの家を視聴した感想(ネタバレ含みます)
はじめてみた時の感想は、内容も歌もパッとしない感じの作品に感じてしまっていました。
物語の内容よりも、ディズニーの映像美みたいな、世界観をみるみたいな、そんな感じだったので、ぼんやりみすぎていたのが原因だったりするのですが、それに加えて魔法だらけの家ってことで、ミラベルの能力にばかり目を向けすぎて、そこに気をとられてしまっていた部分が大きかったです。(実は何か特別なものが、あとで発現するのでは?みたいな)
あとで物語の内容をよくよく思い返してみると、じわじわと複雑な気持ちにさせられたので、もう一度ちゃんとみたい熱が出たことで、2度目の視聴をすることに。
そこで分かったことがいくつかあります。
ギフトをもらうことで「幸せ」になるわけではなかった
はじめは、ギフトが、もらえなかったミラベルだけが可哀そう…みたいな感じに映っていたのですが、実はそうではありませんでした。
ミラベルだけでなく、特別な才能をもっている家族ですら、ギフトを持っているがゆえの、悩みを抱えていました。
特別な才能をもっている家族は、みんなの役に立たなければいけない、こうでないといけないみたいな、強い強迫観念めいた思いに悩まされています。
家族や(特にアルマ)、街のみんなからの期待にこたえようと、本来の自分らしさを押し殺して生活しているのです。
アルマおばあちゃんは、そんなに悪くない
家族に厳しく、マドリガル家の在り方を押し付け、嫌な奴にうつるアルマおばあちゃんですが、実際には心根が悪いわけではありません。
住むところを追われ、夫を失い、奇跡的にようやくできた居場所、エンカントや家族を守りたい一心で、こうあるべきという完璧さを求めるようになってしまっていたのです。
アルマおばあちゃんも必死だったということです。
良かれと思ってしていたことでも、間違うことはあります。
享受している奇跡を、失いたくないという、そんな思いが家族を追い詰めてしまっていたんだと思います。
そんなアルマの気持ちが、魔法の消失やカシータ崩壊を招いた原因です。
魔法があるから、今の幸せがあるという思い込みのせいで、今度は、失うことが怖くなる。
家族を守るはずが、魔法を守るために、完璧を求めるように変わっていったように感じました。
だから、何が大事なのか気づくためには、一度すべて壊れる必要があったのかもしれません。
失うことで、魔法がなくても(才能)、何も問題がないことに気づけます。
魔法の奇跡で、家族が、街が幸せになった。
と思っていたのは、間違いだということです。
ですから、何もギフトがないミラベルが、行き過ぎた考えを持つようになったマドリガル家にとっての答えだったんです。
家族とは、何もなくても、存在しているだけで素晴らしいことなんだと。
マドリガル家の人たちは、人が良すぎる
ギフトをもらったからといって、それを悪用しようとはしていません。
むしろ、家族のため、エンカントの人びとのために使うことしか考えていません。
その結果、「期待」にこたえようとしすぎて、頑張りすぎて悩んでしまっています。
ブルーノに至っては、未来を見ることができるギフトを、授かっただけなのにも関わらず、みんなから疎まれますが、周りではなく自分を責めています。
自分がいると周りが不幸になるみたいな。
ですからそもそも、魔法を自分勝手に使うような家族なら、何も悩まなかったので、マドリガル家の人たちが、いい人すぎます。
エンカントで暮らす人たちも、マドリガル家の人たちを頼りすぎているので、個人的には自分でやれよ!と思ってしまう部分もありました。
魔法は、人の持つ才能を分かりやすく誇張して表現したもの
何かしらの才能をもつ、天才と呼ばれる人たちが実際にいますが、そういった才能を、魔法という分かりやすいもので表現していて、才能があるからといって、他の人と違うというわけでもないですし、自分には何もないと思っている人と同じように悩んでいるかもしれないみたいな感じを、ディズニーの世界観で伝えている作品なんだと思います。
才能がある人たちは「期待」されることで悩み、才能がないと思っている人たちは、「期待」される存在になりたくて悩む。
どちらにしろ、みんな同じで、才能がどうであれ、時に自分を追い詰めてしまうこともあるということを、この作品できづかされます。
ミラベルと魔法だらけの家に出てくるキャラクターたちは、誰かしら自分と当てはまる人がいるような気がします。
どんな悩みであれ、人は存在してくれているだけで、何かしら誰かの心の支えになっているのかもしれないですね。
みんな、なりたい自分になれずに悩んでいる
解釈は人それぞれ、感じる部分があるかと思いますが、ミラベルと魔法だらけの家は、自分なりに考察してみたくなる要素満載の作品だと思います。
結局、ミラベルは、なぜギフト(魔法)がもらえなかったのか?とかですね。
ミラベルだけがギフトがない理由を考察
魔法のロウソクは、何かしらのギフトがあるから、誰かの役に立てるというわけでもないということを、ギフトを与えないことで教えたかったのかも?
そもそもミラベルが、普通にギフトをもらっていたら、この作品の伝えたいことが伝わりにくくなるんでしょうけど、ミラベルの性格的に、ミラベルの欲しているものは、何か特別なギフトが必要なかったのかもしれません。
ミラベルの優しさや、家族の誇りになりたい気持ちなど、特別なギフトがなくても、自分自身の手で手に入れられる子だと判断されたのかもしれないです。
もしくは、その時に必要なギフトではなかった。
ミラベルは、何もギフトがなくても、ふさぎ込まず、家族や家を守るために、前に進むことを選び、見たくないもの(未来)をみる勇気を持ち合わせ、家族の話を、根気強く聞くことで解決の糸口を見つけていくのです。
そして、魔法消失、カシータ崩壊後、ミラベルは、魔法やカシータをよみがえらせます。
扉には、ミラベルを中心とした家族の姿が描かれるので、もしかすると、家族に何かあったときに、家族をつなぐ魔法だったのかも?しれないですね。
魔法は完璧ではなく、家族の不安やわだかまりで弱まるもので、魔法に頼らず、それを修復できる者が必要だったのかもしれません。
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