やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
著者:アンジェラ・ダックワース 376ページ ダイヤモンド社
人生のあらゆる成功を決める究極の能力を身につける
こんな風に思っていたら
- 成功する人と失敗する人の違いはなんだろう?
- いつも中途半端だから、最後までやり抜く力を身につけたい
- 人生の勝ち組になるには、才能がすべてだと思っている
うまく行く人や成功する人たちは、才能があるからだと思っているなら、それは間違いです。
才能があった方が有利ではありますが、それが成功や自分の目的を達成するために絶対必要な要素かというと、そうでもないことが本書で学べます。
ですから、才能がないからダメなんだと諦めるそうになっているのなら、まだ早いと思いますよ。
この本では、才能があっても努力をしない人は、何も達成できないと解説しています。
その達成するために必要な力は、才能ではなくやり抜く力です。
それは、誰でも身につけることが出来るのです。
才能よりもグリット
著者は、マッカーサー賞を受賞(別名、天才賞。)しており、受賞の理由は、人生で何を成し遂げられるかは、生まれ持った才能よりも、情熱と粘り強さによって決まる可能性が高いと突き止めたことです。
長い目で見れば才能よりも重要なのは、グリット(やり抜く力)だと著者はいいます。
何かを達成しようとすると、困難や壁に当たる時があります。
そんな困難に対処する力は才能とほとんど関係ないですし、模範となる人たちは、並外れて粘り強く、努力家だということが分かっています。
そして成功している人たちは、自分が何を求めているのか、よく理解していて方向性も定まっているので、そこに努力を積み重ねた人たちなのです。
才能があると成功できるのか?
そんなことは全くないということが、本書を読めばよく分かります。
いろいろな実験データから、才能があっても、その才能を生かせるかどうかは別の問題だと言うことです。
才能のある人が努力すれば、素晴らしい結果を出せるのだから、頑張ればいいのにも関わらず踏ん張れない。
それは才能があってもやり抜く力がないからです。
才能があっても、やり抜く力が強いとは限らないので、目標を達成したり成功したりするのは、才能だけが重要ということではないのです。
人はなぜ才能を重視するのか?
私たちは様々な能力を持っており、いくらでも伸ばせる余地があるのに、なぜすぐに能力の限界だと思ってしまうのだろうか?
将来何を成し遂げられるかは、努力ではなく才能で決まると考えてしまうのは何故だろう?
私たちは完璧な王者に憧れ、当たり前のものよりも、驚異的なものが好きなのだそうです。
ですから才能を過大評価してしまい、他の全ての要素を過小評価してしまっているのです。
ニーチェ
芸術家の素晴らしい作品を見ても、それがどれほどの努力と鍛錬に裏打ちされているかを見抜ける人はいない。そのほうがむしろ好都合と言っていい。気の遠くなるような努力の賜物だと知ったら、感動が薄れるかもしれないから。
才能を自分が変わらなくてもいい、言い訳に使っている
自分が成功や達成できない理由を、努力が足りない事ではなく、才能のせいにしておけば、自分が引け目を感じる必要がなくラクですから、才能のある人と張り合っても仕方がないと言う言い訳をしているのです。
そうすれば現状のままでいられるから。
ですから、才能や天才という言葉で簡単に片付けなければ、才能に恵まれていない人々も偉大な達人になれる可能性が大きいのです。
才能はスキル上達が早いだけ
達成した人々は何よりも職人と考えるべきで、達人たちは努力によって偉業を成し遂げた天才になったのです。
才能とは、努力によってスキルが上達する速さのことで、達成は、習得したスキルを活用することによって現れる成果のことです。
ポイント
才能は上達する速さであると言うこと、それが努力によって、スキルに変わる。
そのスキルを使って努力することで、達成することができるということです。
ですからスキルになる時間が早いか遅いかであって、才能があっても努力しない人は、努力をする人に抜かれるのです。
著者の計算が正しければ、才能が人の2倍あっても人の半分しか努力しない人は、たとえスキルの面では互角であろうと、長期間の成果を比較した場合には、努力家タイプの人に圧倒的な差をつけられてしまうということです。
才能がたとえあったとしても、それを達成する行動、努力をしないと結局何もなしえないのです。
人間のどんなにとてつもない偉業でも、実際は小さなことをたくさん積み重ねた結果であり、その一つ一つはある意味、当たり前の事ばかりだ。
こんなこともよく分かる
私たちは新しいことを始めても長続きしないことが多いですよね。
その理由も本書を読むとより理解できるようになりますよ。
頑張るだけでは意味がない
やり抜く力と言うのは、瞬発力じゃなくて持久力だといいます。
かと言って、なんでも必死に頑張るのは意味がないともいいます。
重要性の低い目標にまでしがみついて、どれもこれも必死に追い続けることでは時間もエネルギーも分散されて消耗してしまうことになる。
重要度の低い目標と重要度の高い目標の違いをしっかりと認識すればやり抜く力は伸びていくのです。
やり抜く力を持つ鉄人たちが共通して持つ4つの特徴
ポイント
興味、練習、目的、希望
この4つの特徴をもとに、やり抜く力を、内側から伸ばすことができるようになります。
必死に努力する以前にまずは楽しむことが大事
自分が本当に面白いと思っていることでなければ、辛抱強く努力を続ける事はできません。
そして、努力をしない限り、好きだからといって上達できるとは限りません。
やりたいことが見つからず、毎日何時間も努力をする覚悟ができていないうちは、興味を持ったことを、ひたすら楽しんでみたほうがいいといいます。
それがずっと続けられることなのか、それとも興味があっただけで、すぐに飽きてしまうことなのかが分かるようになります。
取り組むべきことを発見する簡単な質問
- 私はどんなことを考えるのが好きだろう?
- いつの間にかよく考えているのはどんなこと?
- 私が本当に大切に思っているのはどんなこと?
- 私にとって最も重要な事は?
- 何をしている時が一番楽しい?
- これだけは耐えられないと思う事は?
ぼんやりとした方向性でもいいので、何か自分にとって少しでも興味のあることが見えてきたら積極的に試すことが大事です。
まずは好き嫌いをはっきりさせてから、積み上げてみてはいかがでしょう。
ポイント
これだけはやりたくないと言う仕事もあれば、これなら良さそうだと思う仕事もあるはずなので、とりあえずいいと思ったことをやってみる。
自分が打ち込んでみたいと思う事はたった1つとは限りませんから、外の世界に出て行動を起こし、それがあなたにとって情熱に変わるくらいの取り組むべきことか、ある程度、試行錯誤してみなければ分かりません。
そしてあなたが情熱をもてるものが見つかったら、そこを目指してやり抜くのです。
そして成功するための努力の方法
やればやっただけ成果が伸びる人と、やってもやっても成果が出せない人の違いって知りたくありませんか?
その違いを知ることで、無駄な努力をせずにすみますし、時間も節約することにつながると思います。
そして、やり抜く力の強い人たちは、他人よりも多く意図的な練習に取り組んでいるうちに、次第に努力が報われるようになるといいます。
その意図的な努力とは?そんな努力を、なぜ楽しいと感じるのか?知りたい方は、本書が役立ちます。
それに失敗への解釈の違いが粘り強さを生む要素だったなど、あなたの考え方を変えてくれるメソッドを身につけることが出来ると思いますよ。
オススメです。
なるほどポイント
毎日同じ時間、同じ場所での習慣を作る。
大変なことをするならルーティンに勝る手段は無いから。
追記
目に見えないやり抜く力ですが、今の自分はどれくらいあるのかの目安が、数値で測定できたらいいと思いませんか?
本書では、やり抜く力をはかるグリット・スケール(83ページ)で、スコアを算出できるようになっています。
10の質問があり、その一つ一つの点数を計算して、割り出すことができるようになっています。
ちなみに私は3.7でした。そこまで大したことない感じです。
情熱と粘り強さを、別々にスコアもはかれるようになっていますので、試してみてはいかがでしょうか。
それと楽観主義者か悲観主義者かがわかるテスト(233ページ)
1つだけ質問をしてその答えによってどちらかがわかるようになっています。